おかゆなれきし

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てるてる坊主の歴史を遡ったら見えてくる掃晴娘伝説が完全に『天気の子』!

「ねぇ、今から働けよ?」と聞こえてきそうな今日この頃。しょう(@shos_history)です。

 

 みなさんは新海誠監督の最新作『天気の子』もうみましたか?

 

内容的には賛否両論が出る作品で、面白いと思った人もいるし、面白くなかったと思う人もいたと思います。

 

見に行った話とおまけに映画の歴史も知れるなんともお得な記事はこちらです! 

www.sho0310.com

 

 

僕的にはめちゃくちゃ面白かったです!

 

 

そんな『天気の子』はどんなに悪い天気でも祈れば100%晴れにする能力を持った少女が出てきます。

 

そんな神のような少女とは違って100%晴れにはできませんが、晴れにできる可能性を秘めた最強のアイテムが現実に存在していますよね?

 

 

f:id:shoooy:20190929213729j:plainてるてる坊主です!

 

 

『天気の子』も天気がらみの映画だったのでやはり「てるてる坊主」は登場していました。

 

そんなてるてる坊主がいつからあるのか、どうして生まれたのかを歴史から紐解いてみようと思います!

 

※【注意事項】

『天気の子』のネタバレっぽいのが若干あるので、まだ『天気の子』を見ていない方で「ネタバレ絶対嫌!」な方は見ないことをオススメします。

 

もちろんメインの話は「てるてる坊主」なので、天気の子を見ていない方でも楽しめる内容になってます!

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てるてる坊主とは?

 

てるてる坊主ってそもそもなんだろう?って人のためにここでおさらいです。

 

日本国語大辞典や天下の広辞苑様によると、てるてる坊主とは「翌日の晴天を祈って、軒下などに吊るす紙の人形」と書かれています。

 

それだけではなく、どちらの辞典にも共通して書かれている続きがあって…

 

 

「願いが叶って晴天になったら墨で瞳を書き入れ、神酒みきを供えて川に流す」

 

 

というのが一連の流れのようです。

 

僕らはてるてる坊主を作ったら捨ててる記憶しかありませんが、本来は後始末もしっかりするのがルールのようです。

 

瞳を書き入れるの知らなかった…

 

現代で川に流したらただの不法投棄や…

 

てるてる坊主の歴史とは?

 

ということでさっそく、てるてる坊主がいつからあるのかその歴史を調べてみました!

 

 

江戸時代の榊原さかきばらさんの『榊巷談苑さかきこうだんえん』という本には

 

「この国の女性たちは降ってる雨を止ませようと照法師というものを作って晴れを祈る。唐の国においては掃晴女そうせいじょうという。」

 

と書かれています。

 

江戸時代のアメリカ人医師のヘボンが書いた日本最初の英語で書かれた日本語辞典の『和英語林集成』には

 

 

 

f:id:shoooy:20190923155209p:plain参照:国立国会図書館デジタルコレクション、ヘボン『和英語林集成』287コマ目

 

TERI-TERI-BODZUてりてりぼうずと書かれており、説明欄には

 

「晴天がやってくるように子供たちによって1枚の紙を男の形に切って、ドアにかけられる。」

 

と書かれています。

 

 

照法師やらてりてり坊主やら名前が今と違いますが、

 

 

間違いなく江戸時代には、てるてる坊主はありました!

 

※一説には平安時代とも言われており、いつからあったのかは定かではありませんが、江戸時代には確定で存在していました。 

 

そして江戸時代のてるてる坊主も今と同じで「晴れを願って」作られていました!

 

てるてる坊主のてるてるは「照る」のてるだったんですね!

 

ハゲとか丸いって意味での"てるてる"だと思ってた…

 

じゃあ、このてるてる坊主の始まりと言われているのはなんだろう?かとなりますよね?

 

その答えは今紹介した2つの江戸時代の本のなかに共通する見知らぬ文字にあります!

 

それが、、、 

 

掃晴女そうせいじょう!!

 

てるてる坊主の歴史と掃晴女そうせいじょうの伝説!

 

さっき紹介した江戸時代の榊原さんの『榊巷談苑さかきこうだんえん』には「唐の国においては掃晴娘という」と書かれており、ヘボンの『和英語林集成』にはTERI-TERI-BODZUという読みに掃晴娘という文字を当てています。

 

この掃晴娘について大漢和辞典で調べてみると「天気が晴れるまじないとして、紙で人形を作り、ホウキを持たせて軒に吊るすもの」と書かれていました。

 

ホウキの有無以外は

だいたいてるてる坊主と同じことが書かれているんです!

 

 

そしてこの掃晴娘には次のような伝説があるようです。

(いくつも似た伝説があるので、いい感じにまとめて自己流で話します。)

 

 

昔々、北京(村説もある)に切り紙が得意かもしれない(切り紙得意設定がないパターンもある)少女「晴娘ちんにゃん」がいました。

 

連日続く大雨によって北京では水が溢れかえっており、人々は悩まされていました。

 

そんな時に晴娘は雨が止むように天に向かって祈りました。

 

すると、天から「俺の嫁になれば雨止めるわ」という声が聞こえます。

 

晴娘はそれに同意すると、晴娘は天に消えました。

 

その翌日にはしっかりバッチリ雨が止んだそうです。

 

それから北京では雨が続くと、晴娘を思って切り紙で作られた人形を掃晴女といって吊るすようになったと言います。

 

今でも実際にそういう風習が北京で残ってるそうです。

 

掃ってついてるのは晴れにするために空を掃くということだとか!

 

すごい悲しい伝説なんだけど、なんだろうけど…天の声が事件の匂いしかしない…

 

てるてる坊主の歴史の始まりが完全に天気の子!

 

掃晴女の伝説を聞いて、『天気の子』を見てる方なら思うかもしれません。

 

 

だいたい一致!!!

 

  

完全は大げさだとしても、だいたい同じような内容が『天気の子』で描かれていますので、まだ映画を見ていない方はぜひ劇場へ!

 

聖地巡礼を考えている方はこちらを参考にすると2倍楽しめますよ!

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江戸時代からあった"晴れにできる可能性を秘めた最強のアイテム"てるてる坊主は「掃晴女」というとても悲しい伝説に繋がっていました。

 

掃晴女の伝説は奇跡は存在するということを教えてくれていると同時に、光あるところに影は必ずあるということも示しているのかもしれませんね。

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雨降ったら掃晴女とてるてる坊主一緒に飾ってみようかな?

 

晴れたらてるてる坊主は川に流すの?

 

(トイレットペーパーで作って)トイレに流します。

 

 

【少しでも参考にしたもの】

『広辞苑』

『日本国語大辞典』

『大漢和辞典』

国立国会図書館デジタルコレクション

榊原篁洲『榊巷談苑』

ヘボン『和英語林集成』287コマ目

 

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